アウトプットが試験では必要なので情報カードを使って勉強する方法

1.実力はアウトプット力で測られる
テストの結果ほど、今の自分の実力を客観的に表しているものはありません。
本試験も同じペーパーテストの形式だけで判断されるのであれば、あなたはそのテストで結果を出すための努力をすることが求められているのです。

当然と言えば当然の事実ですが、中にはこれをうまく受け入れることができない人がいます。
つまり、自分には実力があるのだけど、本試験では合格できない、と。
こうした認識を変え事実を直視して、そこから学ぶ姿勢を保つことが、合格を「仕組み化」していくうえではとても大切なことなのです。

考えてみれば、資格試験は全国で同じテストを行い、それを客観的な判断基準で合格を決めているので、資格取得者に社会的な信用がつくのです。
その受験生の実力がペーパーテストの形式で測られる以上、受験生はそのテストで結果が出せる努力をしなければいけませんし、それだけの努力でいいのです。

すなわち、テストで表現できる(アウトプット)ものだけを訓練して記憶し、テストで表現できないものははじめから記憶する必要がないのです。

資格試験に限らず、すべての試験においては、こうした割り切った考えが効果的であることは、多くの短期合格者を目の前で見てきて痛切に感じたことです。別の言い方をすれば、短期合格者は新しい知識を学ぶ際(インプット)にも、常にテストで問われた時のことを考えながら勉強できているのです。
常にアウトプットするという観点から知識を吸収していけるので、アウトプットできそうにない知識は最初から捨てることができているのです。

人間の記憶力には限界がありますから、無駄な知識を頭に入れてしまうと、本当に価値のある情報をうまくアウトプットできなくなってしまいます。
新しい知識を最初に学ぶ段階から、こうした目的意識が明確な受験生とそうでない受験生では、アウトプットであるテストで大きく差がつくのは当然なのです。


2.何がわからないかを明確にする
アウトプット勉強の際にもっとも大切なことは、「自分が何をわかっていないのかを把握すること」です。インプットの勉強だけでは、本当に自分がわかっているのか、わかっていないのかが明確になりません。アウトプット勉強では、問題が解けない、あるいは解き方がわからないということが明らかになるため、自分の理解度をしっかりと把握することができます。

そしてこのアウトプット勉強で意識すべきことは、なぜ問題を解けなかったかということです。単純に知識が足りなかったのか、それとも解き方を理解していなかったのか、など、自分が今回問題が解けなかったのはなぜなのかをしっかり分析します。

そのため、アウトプット勉強では、答え合わせをもっとも重視します。答え合わせには十分に時間をかけるべきです。

基本的に実際に問題を解いた後には、思考過程がはっきりとわかっているため、解答の解き方と自分の思考過程のどこにくい違いがあったのか、そこを重点的に検討します。単に合っている、間違っているということはまったく意味をもちません。

単純な計算間違いであれば、一切気にする必要はありません。対策は以後注意し間違えないように気をつけるだけだからです。
しかし、そもそもの解き方を間違っていたのでは、それ以後、何回同様の問題を解いても正解することはできません。何のために勉強しているかというと、試験の本番で正解するためです。そのため、どこで間違えたか、なぜ間違えたのかを分析し謙虚に受け止める必要があります。

逆に、今回間違った方法でやって、偶然正解しても、それは理解しているということにはなりません。本番で間違えないように、どうすればできるのかを考えなければならないのです。

概して人は、理解不足で間違ったとしても、ケアレスミスという結論にしがちです。やらなければならなかったことを1つ忘れていた、スペルを間違えた、単語を間違えたなど。
しかしこれは本当にケアレスミスでしょうか。

これらはケアレスミスではなく、理解していないことに由来する間違いである場合が多いものです。ちゃんとスペルを覚えていれば、書き間違えはしないでしょう。単語の意味をしっかり把握していれば、間違えて使うこともないでしょう。

せっかく時間をかけて問題を解いているのですから、そういったことをケアレスミスですまさずに、どうすればいいかという対策を講じるべきです。

アウトプットに割ける時間もそう多くはありません。そのため、できる限り1問から多くを学ばなければなりません。問題を多くこなしているのになかなかできるようにならない人は、ただ問題を解いているだけということはないでしょうか。

1問1問を通して、自分の理解を深めるという意識がなければなりません。逆にこういった意識で勉強していると、アウトプットに時間がかかりますが、確実に実力はついてきます。考える力もつきますし、理解も深まっていき、合格へ大きく近づきます。


アウトプットを意識したインプットに徹しよう。
一度忘れた情報を思い出す超簡単な方法

アウトプットを意識したインプットに徹して、記憶する情報をどんなにコンパクトにできたとしても、時がたてば誰でも忘れてしまいます。
ですから、次に重要なことは、忘れたことを上手に思い出すことができるサイクルを「仕組み化」することです。

この「仕組み化」についても、別に難しく考えることは必要ありません。
お勧めしているのが、情報カード(B6版)を上手に活用することです。この情報カードは、別名「京大式カード」とも呼ばれています。
イメージとしては、2つ穴のリングバインダーに自由に差し替え可能な単語カードの大きいものと考かえてもらえればいいでしょう。

情報カードを使うことについては、さまざまなメリットがあります。
まずは、テキストの情報を少し自分でまとめて整理したい時に便利です。
普通サイズのノートだと、どうしてもしっかりとまとめないといけない気になってしまい、ついついサブノートをつくること自体にこだわってしまうことになりがちです。

しかし、小型の情報カードなら、自然に情報をコンパクトにしようと考えながら書き込むことになります。この作業自体が、記憶を定着させるためには効果的なのです。
何も考えなくて書き写すだけでは、楽ですが忘れるのも早いのです。
また、書き込み方も自由にできます。

単語カードのように表面に問題を書いて、裏にその答えを書きながら整理することもできますし、表と裏でまったく違う情報で整理することも可能です。
書き間違えたり、もっと上手なまとめ方を思いつけば、すぐに新しいものと差し替えることも簡単です。とにかく。こだわらない情報整理ができるのです。

さらに、1枚の情報を確認するために要する時間は1~2分ですから、コマギレ時間の効果的な活用に最適のアイテムになります。
仕事の時にも遊びの時にも肌身離さず持ち歩いて、少しでも時間があれば、この情報カードを読むといいです。
この情報カードには、各科目の忘れやすい数字や苦手な分野を中心にまとめてみましょう。また、1冊のバインダーには、100枚程度の情 報カードが収められるので、各科目の情報カードの枚数も計算して、すべての試験範囲が1冊のバインダーで収まるようにしましょう。
そして、毎日のコマギレ時間には、バインダーの最初のカードから確認していき、必ずその確認できたカードをいちばん後ろに差し替えておくのです。

たとえば、今日の仕事中のコマギレ時間が合計30分あったなら、約15枚の情報カードを確認して、その15枚の情報カードをバインダーのいちばん後ろに回しておくのです。
こうしたことを繰り返すだけで、難しい管理をすることなく、忘れたころにその情報を再確認することができたのです。

自分の中で常識化された知識は、バインダーからはずし、また新しいカードを組み込むことも自由にできます。




3.本試験で要求されている能力を細分化する
どの資格学校の、どの資格の講座の内容も、大きく2つに分けられると思います。
すなわち、最初に各科目を講義形式で学ぶ、いわゆるインプット中心の時期と直前期には答練や模試中心の、いわゆるアウトプット中心の時期です。

これから資格試験の勉強を始める人は「基礎力」とか「実践力」という抽象的な言葉で満足しないということです。
つまり、自分の目指す資格試験において「基礎力」とは何なのか? 「実践力」とは何なのか?を明確に意識することです。

この過程が、本試験で要求されている能力を細分化していくことになるのです。
この「基礎力」や「実践力」を何と捉えるかは、当然資格試験の種類によって異なります。
具体的には、論文形式とマークシート形式の2種類で「基礎力」と「実践力」は異なると考えています。
そして、本試験に論文形式を採用している資格試験は、一般的に超難関の資格が多いでしょう。逆に、マークシート方式だけの資格試験は受験しやすいと考えてもいいのではないでしょうか。
これから、圧倒的に受験生の多いマークシート方式の資格試験を例にとって、具体的に考えていきたいと思います。

通常、4択か5択と呼ばれる問題肢の中から、1つの正解肢を選ぶ形になります。
つまり、1つひとつの問題肢が、○か×かを判断していく能力が求められているのです。この判断力を養うためには、問題文にある出題者の意図であるポイントを素早く見つけることが必要になるのです。
ここで、何を「基礎力」とするかは、その本試験で要求されている最も重要な能力を何とするかだと考えてみてください。

このような考え方をすると、マークシート方式の資格試験の「基礎力」とは、出題ポイントの判断能力と考えられます。
決して、法律の解釈論やテキストや条文の丸暗記ではないのです。
この出題ポイントの判断能力をつけるために、最も効果的なのは過去に出題された問題を実際に見てみることです。つまり、過去問を実際にやってみることです。

これが、合格するための「基礎力」として最も重要なことなのです。
当然、何も知らない人が過去問を見ても分からないので、まず過去問の問題文が何を言っているのかを分かる程度には、その項目を理解する必要があります。
この「過去問が何を言っているのかを分かる程度」の理解というのは、合格を「仕組み化」するうえでは重要な鍵を握っています。

通常、「過去問が何を言っているのかを分かる程度」の理解ということなら、資格学校がいわゆる基礎力養成期に提供している講義を聴けば、手軽に学べます。
しかし、多くの受験生はこの基礎力養成期において、自宅学習としてテキストを読み込んで理解を深めたり、暗記をしようと努めているのです。

これに対して、本試験で要求されている能力の細分化ができている受験生は、まず基礎力養成期においては、いちばん大切な出題ポイントの判断能力を高めようとするはずです。
つまり、自宅学習においては、過去問や問題集の演習が中心となるはずです。このような考え方を延長して、「実践力」とは何かを考えていくと、過去問や問題集以外の出題ポイントにも対応できる能力だと考えることができます。

こうして初めて、過去問や問題集以外の出題ポイントにも対応できるように、テキストを読み込んで体系的な理解を深めていくことが求められていくのです。
ですから、実践力完成期こそ、テキストを読み込んでいくべきだと考えます。

しかし、多くの受験生はこの実践力完成期において、自宅学習として過去問や問題集の演習ばかりをしているので、演習で問われた出題ポイントしか対応できない状態のままなのです。
このように、自分の目指す本試験の求めている能力を細分化して考えられる人ほど、より効果的な勉強ができると思います。

そして、出題ポイントの判断能力を高めるために、効果的な情報整理を心がけていくことが、直前期の勉強の効率をさらに高めることになると考えています。
このマークシート方式の資格試験において、出題ポイントの判断能力を高めるための勉強法として、効果的なのが『比較認識法』という情報整理の手法です。

この『比較認識法』とは、マークシート方式の大半を占める、いわゆる「ひっかけ問題」からヒントを得た新しい情報整理の手法です。
出題者が何とひっかけようとしているかを捕らえ、その知識同士を比較する形でパッと見て、すぐに分かるように書き出すのです。


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