問題を解くための参考書の選び方や時間の活用方法の極意を紹介

1.資格の「目的・趣旨」をしっかり理解する
全体像を理解するための方法として、基本書の利用があります。具体的な方法としては、学ぼうとしていることの全体について記載されていて、なおかつ厚くなく平易な言葉で記載されている本、いわゆる基本書と言われるたぐいの本を探します。

どうして薄い本かと言えば、同じ内容を説明しているのに本が厚いということは、より詳細な説明で、例外をたくさん書いている、むずかしく説明されている、いわゆる専門的な内容になってしまっているからです。

基本書を用いて、まずは全体がどのような構造になっているのかを把握します。薄い本なので、当然言葉足らずの部分や省略があってわかりにくい箇所もあるでしょう。しかし、少し考えてわからなければどんどん飛ばしてしまって、まずは全体を読み終えることを重視します。この段階では暗記をしようと思う必要はありません。

この段階では、「わからないことを考えつづけること」はタブーです。考えることは大切なのですが、それはこの段階ですることではありません。少し考えてわからなければどんどん飛ばし、まずはどういったことを勉強するのかといった全体のイメージをもつことを意識します。このとき、目的や趣旨などの記載があれば、そこはとくにしっかり読むようにします。

先ほども述べましたが、実は基本で一番大切なのは、「どうして」ということです。そもそも「何かが決められている」ということは、「決めなければならない理由がある」からです。理由があれば、決められることはそれに一貫する形で決められるのです。

つまり、「どうして法律があるのか」「どうして会計があるのか」そういった根本の概念があり、その中身である法律や会計は必ずその目的に合った形でつくられています。
そう考えると、その中身を理解する際には、「趣旨に合わせるとどう考えられるか」を論理的に考えていけば、おのずと覚えられるようになります。
ですから「どうして」「目的・趣旨」についての記述があれば、そこはしっかり理解しましょう。

基本書を読む際に意識することは、まず記載内容の大枠を理解することです。そこで目次を見て、それぞれの関連や位置づけを理解します。目次を見れば、大きな流れがわかりますので、土台は何なのか、そしてつながりは何なのかということを考えます。

次に自分が考えたつながりで合っているのか、具体的にどういった理由でつながっているのかを意識しながら読んでいきます。これを意識することで全体像を理解できるようになります。
基本書と言っても、本格的な専門書と枠組み自体は同じで、記載内容が少ないだけです。

基本書を理解した後は、基本書で学んだことにどんどん肉づけをしていくだけです。これをどのように実践するかですが、人によって自分に合うツールを使えばいいと思いますが、理解が目に見えてわかるように、マインドマップなどの図にしていき、そこに後からわかったことを書き加えていくという方法が1つ考えられます。

とくにまとめることはせず、その場その場で理解したことを紙に書きながら確認していました。勉強中はそれをすぐに捨てていましたが、今思えばもう少ししっかりつくって勉強中ずっとアップデートするようなツールにすればよかったと思っています。

この際に使う基本書ですが、その選択には、すでに合格している人の意見が参考になります。自分で選ぶよりも、すでに合格した人の意見を参考にしたほうが、わかりやすい本。よい本に出会える確率が高くなります。その上で、ぱらぱらと眺め、自分が読みやすいかを判断すればいいと思います。

さらに、参考書は簡単な問題や実例が載っているものを選びましょう。人は抽象的な記述だけではなかなか理解できませんし、自分の理解が正しいかどうかを確認することができません。自分の理解が本当に正しいのかどうか、理解できないものがどういったものなのかを具体例があることによって確認できます。



2.1冊の問題集を繰り返してやるべきか?
この問いには、万人に通用する答えはないと言えます。
同じ問題を2回解くと、たいていは2回目にはいい点数が取れます。それは以前やった「やり方」をうっすらと覚えているためだと思います。

しかし、「やり方を覚えている」ということは、理解していることと同義であるとは限りません。つまり、その特定の問題しか解けないのか、それとも少し切り口や方向性が違っていても今の知識を応用して解けるのか、ということがわからないのです。

そのため、自分の理解を確かめるため、そして様々な切り回の問題に触れるために、類似していても異なる問題を解いたほうがいいと考えました。

ですから同じ問題を2回解くのであれば、別の問題集の異なる問題に取り組むほうを選んだのです。さらに2回解くつもりがないため、問題を解く際は、直接問題集に書き込んでいました。これにより、ノートに写す時間も必要ありませんし、電車や待ち時間でも簡単に演習できます。

異なる問題を解いても解けるのであれば、それはその分野を理解しているということです。また、試験というものはどれだけ多くの種類の問題に触れたかで得点力が変わってくると考えています。それは、既知の問題を解くのと、未知の問題を解くのとでは、問題の難易度が大きく異なるためです。

既知の問題であれば、解いてゆく方向性がある程度わかりますが、未知の問題ではその方向性からまず自分で考えなければなりません。そのため、できる限り多くの問題に触れることで、少しでも本番での問題を「既知の問題にする」ように心がけ、同時に未知の問題にどうやって取り細むかという練習もしていました。

試験日が決まっているという状況の中、限られた時間で成果を出すのであれば、できる限り時間を効率的に使う必要があります。そのため、同じ問題を2回解くのであれば、異なる問題を解くことで、いろいろな効果を同時に得たほうが効率的だと私は考えています。

ただ、それでも復習を繰り返したいと思う人は、間違えた部分をどんどん埋めていきたいという考えがあるからでしょう。その点については、私も否定しているわけではありません。むしろ、間違えた部分や理解できていなかった部分の補強はすべきだと思います。

大事なことはその補強の仕方であって、それは同じ問題を1から解くということでありません。少しのできないことのために、できることまで繰り返しやる必要性はありません。

間違った部分のみをノートに記載し、間違えた特定の部分のみを復習すればいいのです。これによって同じ問題を一度しか解かないということについての合理性が出てきます。

また、様々な参考書や問題集をやってみるということは、ある特定の人の考え方に偏らないというメリットもあります。参考書や問題には、それをつくっている人の知識の範囲や重要だと思うことしか載っていません。しかし、その重要性の判断はあくまでも作成者の考えであり、それが正しいかどうかはわかりません。

多くの参考書・問題集をこなすことで、皆が重要だと思うことについては、何度も触れることができますし、特定の人が重要だと思うことは、回数は少ないですが、それでも触れることは可能です。これにより、自然と重要度によって勉強に強弱をつけることもできます。そして、数多くの問題に触れられるため、既知と未知の境を超えることになるかもしれません。ぜひ皆さんも多くの問題を解くことを心がけてみてはいかがでしょうか。


3.時間効率を上げる「中途半端勉強法」
中途半端勉強法とは、「時間をかける必要のない部分には時間をかけない」という勉強法です。ネーミングだけではどういった勉強法かがわかりにくいと思いますので、具体的に説明します。

たとえば基本書を読んでいると、その途中に問題がある場合が多いものです。この問題を見る際に、問題の「解き方」は考えるものの、実際には問題を解かずに答えを見て、自分の解き方や理解が正しいかどうかを確認するという方法です。

これはアウトプットの学習でも効果を発揮しますが、そちらでは「答え勉強法」ということで紹介しています。

ではなぜインプットの段階でこの方法が有効なのでしょうか。1つには、時間の問題があります。まずは全体像を把握し理解することが第一です。そのため、問題を解くことに時間を使っていると、どうしても学習の進度が遅くなってしまい、全体像の把握に時間がかかってしまいます。

試験を考えても、今、目の前にある問題とまったく同じ問題が本番で出題されることはほとんどありません。それならば、今やっている問題で答えが合っていることが重要なのではなく、やり方がわかっていること、やり方が正しいことが大切なのです。考え方や解き方を理解していれば、もし本番で類似の問題が出ても当然解けるはずです。

参考書に載っているすべての問題を完璧に解こうとすると時間ばかりかかり、効率性の観点からも、モチベーションの観点からも好ましくありません。

モチベーションの観点というのは、1科目の全体像を知る、あるいは1冊の本を読むのにあまりにも時間がかかってしまい、なかなか勉強が進んでいかないという感覚が生じ、やる気が損なわれてしまうということです。

なぜ参考書に問題がついているかというと、理解しているかどうかを確認するためです。
それならば、最後まで問題を自力で解ききる必要はありません。答えを考えるのではなくて、やり方を考えればいいのです。

確かに、自力で問題を解くことで実力が伸び、理解が深まると思います。ただし、それはインプットを終えてアウトプットの段階ですればいいことであり、インプット段階でする必要はありません。勉強をしていてこれは必要ないな、と思うことは切り捨てることも大切です。
「インプットは早く終わらせる」、これが効率的な勉強への近道だと言えます。


4.「損切り」の発想を持つ
うまくいかないときは、すぐにやり方を変える
商品先物や株式投資で多額の財をなした投資家のウィリアム・ギャンは、投資における「損切り」(ロス・カット)の重要性を強調しています。

たとえば、ある会社の株式が上がると思って買ってみたけれども、買った先から株価がどんどん下がってしまうということはよくあります。このように、相場が自分の予測とは反対の方向に動いたときには、損失がそれ以上拡大しないうちに、すぐに買った株式を売却してしまうことを「損切り」といいます。

こうやって損失を早期に確定させることで、それ以上の損失の拡大を防ぐと同時に、新たな投資へと踏み切ることができるのです。逆に「もう少しやればうまくいくのでは……」とズルズルやってしまえば、取り返しのつかないことになりかねません。

あるアパレル販売会社の社長さんが店舗を撤退する決断を下したときにこういっていました。「新規に出店するときは、本当に採算が取れるかどうかを慎重に検討する必要があるが、店舗を撤退するときはハードルを低くしてさっさと決断することが大事。そうしないと、どんどん損失が拡大してしまう」たしかにその通りだと思います。ダメなときはダメ。すぐ撤退したほうが賢明です。

「元をとる」にこだわれば、「時間」という損も生む
勉強においても、この「損切り」の発想を持っています。「やってもダメだな」と思ったら、すぐに引くのです。
たとえば、本や問題集。それなりに吟味して買ったものであっても、なかには、自分に合わないものもあります。そう感じたら、読み終わらなくても捨ててしまいます。

「せっかく買ったのだから、とりあえず全部目を通して、支払った3500円分は回収しなければ」とは思いません。
結局、自分に合わなければ、どんなに頑張って読んでみたところで頭に入らないのです。数ページ読んで読む気が起こらない本は、「読み進めていけば、いずれ理解できる」なんてことはまず起こりません。そんな本を全部読もうとしてしまえば、時間をムダしてしまうだけです。

人生におけるもっとも貴重な資源は「時間」です。「お金」ではありません。この「時間」というもっとも貴重な資源をムダ遣いしないためには、本にかけた「お金」を捨ててしまってもかまわないと思います。

自分に合わない本であるにもかかわらず、「元をとる」ということにこだわっていれば、本を買った「お金」と、ムダに使った「時間」というダブルでの損失を生んでしまいます。
こうした事態を避けるためにも、自分に合わない本は古本屋で処分してしまって、自分に合う新しい本を買って読んだほうがずっといいのです。

人の一生は「○時間○分○秒」という時間で正確に決まっています。決して長くはありません。その中で悔いなく生きようと思ったら、「損切り」の発想で、1秒たりとも時間をムダにしないようにする必要があります。

自分の時間は1秒たりともムダにしない
自分に合わない本や勉強法はいさぎよく捨ててしまおう。


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