目標を立てて合格できるスケジュールの決めかたの極意
勉強を始める前に、どのような目標を、どのように定めるかについて考えてみましょう。
まず大切なことは、期限を定めることです。これはいつまでに目標を達成するかを決めるということです。これを決めておかないと、だらだらと勉強をつづけることになり、だんだん惰性で勉強をするようになって効果は上がりません。
できれば、1年や2年など短めのスパンで期限を定めましょう。それがモチベーション管理にも効果を発揮します。
そして目標を定めるときは、実現可能な範囲でできる限り高いレベルに設定することをお勧めします。
人間というものは、何かを成し遂げようとしたときには目標までしか到達できないものです。つまり、高い目標を定めた場合でも、低い目標を定めた場合でも、うまくいってそれぞれの目標までしか能力を伸ばすことはできないということです。
そうであるならば、できる限り高く目標を定めておいたほうが、結果として目標を達成できなかったとしても、低い目標を定めたときに比べて、能力は高くなっています。また、高い目標であるほうが、達成したときの喜びが大きく感じられ、その達成に対して高いモチベーションを維持しつづけやすいものです。
合格を目標にすると、合格に必要な実力しか身につきませんし、合格に必要なものは何かという視点で物事を考えてしまいます。確かにこれで問題はないのですが、合格するのに必要な実力をつけているだけでは、最終的に合格できるかどうかは当日の出来次第になってしまいます。そうではなくて、それ以上に高い目標をもち、その達成のために努力していれば、当日少々想定外のミスが起こったとしても十分合格できる実力はついているはずです。
そして、この高い目標を立てることの効用を、知人の事例を通しても実感しています。
私の知人で、十分力はありながらも、残念ながら会計士試験に合格できなかった人がいました。私はその知人に対して「せっかくもう1年勉強するのであれば、この1年を無駄にしないためにも、できる限り高い目標を立てるべきであり、それが実際の合格にもつながると思う」という話をしました。
そして私が話したその高い目標とは、模試で1番になることでした。そしてその人は、大手予備校が主催している、予備校外部の人も受験する模試で本当に1位を取ってしまいました。もちろん、その年に会計士試験に合格したことは言うまでもありません。
これもやはり、高い目標を掲げたからこそ、実際にその通りの成果を出すことができたのだと思います
「余裕」の目安は、「明日の分までできる」程度
着実に力をつけていくには、「明日やること」の積み重ねが重要だと述べました。ただ、ここで注意してもらいたいのが、「明日やること」の分量は、あくまで余裕を持たせておくということです。
「余裕」の目安は、その日の分を終わらせて、さらに明日の分も少しできてしまいそうなくらいの量です。
自分の力を過信して、大風呂敷を広げてしまえば、達成できない確率が高くなります。達成できなければ翌日に「持ち越し」となってしまい、それが積もり積もれば次第にモチベーションを下げる結果になってしまいます。
一方、余裕を持たせることで、何か緊急の事態が起こってもすぐに変更することができます。その結果、勉強がストップしてしまうという事態を避けることができます。
「前倒し」で勉強がスイスイ進むようになる
余裕のあるスケジュールの効果はそれだけではありません。「余裕」は勉強をつづけるにあたっての「好循環」を生むのです。
たとえば、その人の能力からすれば余裕の範囲内ということで、「今日は過去問を20問やる」と決めたとします。それを、「早朝」「朝の通勤時間」と進めていき、結局、昼休みの段階ですべてを終わらせることができました。
そうなれば、達成感で気分もよくなり、帰りの電車で「明日の分もちょっとやっておこう」という気持ちになるかもしれません。そうやって目標の「前倒し」ができるようになればしめたものです。勉強の「好循環」のスタートです。
仕事でもそうでしょう。「前倒し」ができれば非常に気持ちが楽になります。そして、次の仕事にも余裕を持って臨むことができます。そうなれば、次の仕事もうまくいく確率が高くなりますし、早く処理することも可能でしょう。
こうやってどんどんと「楽」の好循環が生まれてくるのです。
逆に、余裕のないスケジュールにしてしまうと、仕事に追いかけられる事態に陥ってしまいます。その結果、気持ちもあせり、ミスが起きやすくなります。ミスが起こればやり直しです。そうなればさらに時間に追われる羽目になります。こうやってどんどん悪循環に陥ってしまうのです。
「余裕」の量は、勉強を進めるにしたがって変化していくと思います。そのときどきの自分の力を把握しながら、分量を変えていくとよいでしょう。
1日のスケジュールは、「明日の分までできる」くらいの余裕を持たせよう。
次に何をするか、それは合格までのスケジュールを立てることです。お勧めしたいのは、何かの資格試験の受験を決めた場合には、一番早く受験できる日程選択することです。それが現実的であるかどうかはあまり関係ありません。その受験日程を決めた後に、それではどうやって勉強をしていけば合格できるのかという計画を立てます。
一般的には、まずどの程度勉強に時間がかかりそうかを考え、次にその予測をもとに受験日程を考えます。しかしこの方法では、自分で自分に限界を設けることになってしまいますし、何より受験日が後に後にと先延ばしされてしまいます。
人間のモチベーションはそう長くはつづかないので、「受験する!」と決めたら、少しでも早く受験できる環境を整えるべきです。まず受験を決め、次に一番早く受験できる日程を考え、次に合格するためにどうすればよいかを考えましょう。
このように、あえて拙速とも思えるような考え方をすることのメリットは多々あります。
まず重要だと思うことは、無意識に目標にベースを合わせてしまうということがあります。たとえば仕事の締め切りが、明日であれば今日中にできることも、来週だと思うと先延ばしにしてしまい、結局締め切り前日に一生懸命やっているということはないでしょうか。試験も同様で、結局どのような期間で目標を立てても、そこまでにできる量というものは決まっているものです。
そうであるならば、少しでも早く合格できるほうがいいと思うのは当然でしょう。それに加えて試験本番を真剣に見据えることで勉強の効率が上がるという点も見逃せません。確かにそんなに短期間の勉強では、実際に合格することはむずかしいかもしれません。しかしながら、
目的をもち、期限を定めて勉強することで、非常に高い集中力で勉強ができ、学習効率が一気に高くなります。
皆さんも、学校の定期試験などで一夜漬けの経験があると思います。記憶が定着しているかは別にして、試験前日の集中力は非常に高かったのではないでしょうか。やはり、試験直前の勉強はモチベーションも高まりますし、またその時期に勉強したことは忘れにくいものです。たとえ、その受験によって合格できなかったとしても、次回以降のことを考えると非常に有効だと考えられます。
次に、試験は受験しないことには合格できないということがあります。もしかすると、得意な分野や知っている分野のみが出題されるかもしれません。偶然、選択肢が当たるかもしれません。その試験で合格者が増えるかもしれません。とにかく、これらのチャンスは受験しないことには得られません。
まずはチャレンジしてみることで、その後の道は開けるものです。しかし「試し受験」という気持ちだと、学習効率は上がりませんし、甘えも出ます。ぜひ真剣に合格することを考えて計画を立ててください。
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