採用側企業のテクニックが勝っているので転職者が減らない

1.なぜ仕事が合わない人が増えてきたか?
まず最初に、直接あなたに関係ないように思えるでしょうが、現状を俯瞰してみましょう。数年前から見れば、就職はずいぶん好転しています。それぞれの大学で、ある程度の成績を収めていれば、就職できないことはありません。

氷河期の先輩たちから見れば、幸運といっていいでしょう。しかし就職率が高くなったからといって、個人の幸運につながるとはいえません。

その理由は、仕事がなければ、どんな手段でも、食べていくための覚悟を決めますし、その後、少しでも上昇しようとがんばって、自分の手で成功をつかむことができます。

ところが現在のように、中途半端にどこかに入れる状態になってくると、覚悟が決まりません。とりあえずどこかにぶら下がって、あとで転職のチャンスを待とう、という気になってきます。中小企業に入った人の3分の2は、こういう考えをもっているといわれます。

新卒就職率を見ると、高校94、短大89、大学は92.5パーセントでした。ひと頃から見ると、非常に高くなっています。だが、就職した人たちの多くが「適職だ」「こんな仕事をしたかった」と、満足しているわけではありません。いや、むしろ多くの新入社員はスキルアップして、転職を狙う予備軍なのです。

それは一体なぜなのか?
・企業側のリクルートテクニックが発達して、学生がそれに騙されるケースが激増
・正社員が極端に少なくなり、契約、嘱託社員、さらには派遣社員、アルバイトが激増して、身分、立場が不安定になっている
・定期就職時は、少ない人で20社、多い学生になると50社も回るため、適職などと、ぜいたくをいっていられなかった
・人生観が二極化し、ニート志向と自己実現志向に分かれた中で、自己実現派が適職を模索している
・30代起業家、リッチ経営者が激増したため、焦りを感じる若者が失敗をかえりみず、飛び出しはじめた


およそこの5つの理由によるものです。
恐らくあなたも、この中のどれかに含まれているのではありませんか?


2.採用側のテクニックが勝っている現況
注意してきたのが、人材募集広告の中の集団笑顔写真です。
もともと職場というものは、笑顔と無縁です。笑顔が出るとすれば、上司からほめられたときの個人の笑いであって、集団が笑顔でいることは、まずありません。

ところが人材募集広告には、笑顔で手を振ったり、全員が笑顔でこちらを向いています。これはリクルートテクニックなのです。それらが全部ウソだとはいいませんが、そんなものに憧れて入ったら、結局のところ人生を遠回りすることになるよ、と注意を与えたものでした。

次に、正社員への登用の問題です。どの会社も巧妙に、人員をフレキシブルにしようとします。そこで近頃、圧倒的に増えてきたのが契約社員、嘱託社員です。

たしかに契約、嘱託社員は、形の上では正社員になれますが、同時に一年単位(会社によっては二年単位)で、会社側はクビにすることもできるのです。ところが「クビにすることなど、ふつうはありません」と笑顔で答えます。それを信用して入るから、大きな間違いが起こるのです。

口約束といっても、一般論をいっただけですから、なんの効力もありません。これらの失意の人々が1年後、2年後に、再び職さがしに加わることになるのです。このケースは立場的に弱い女性ほど多いことを、肝に銘じておくことです。

たとえばA社の正社員、B社の契約社員で合格したとして、B社のほうがかっこよく華やかだ、という理由で選ぶ女子学生がとても多いのです。1年後にクビを宣告され、「しまった」と思っても、1回歯車が狂うと、人生は乱れがちになるものです。これは恋愛でも結婚でも同じですから、「失敗はしない」という最初の覚悟が必要です。

たくさんの会社を回るケースです。こういう就職方法をする人の気持ちがよくわかりません。理解に苦しむほどです。果たしてそんなに入りたい企業があるか、疑ってしまいます。この方法がなぜ悪いかというと、入ったところで「やっとぶら下がった」という中途半端な安堵感しかないからです。

ところがそんな考えで入ると、入社1日目から転職誌を手離せなくなります。「ここよりよさそうだ」と、会社に内緒で受けに行って、そちらに移ってしまうのです。これだと転職常習者になってしまいませんか?しかし現実の転職は年収が増えるよりも、減るほうが多い、という現実も知っておくべきでしょう。

若い世代でも収入が上がる人は26パーセントほどで、ほとんど変わらずが21、下がる人は53パーセント、という、ある雑誌の調査がありますが、大体そんなものでしょう。中高年のリストラによる転職となると、収入の額が40パーセントもガクッと落ちるケースが、100人中20人にものぼっています。

自己実現派は、非常に着実な転職で、見ていても安心です。
本来なら「転職はかくあるべし」の典型といってよさそうです。たとえばMBAを取得したいといっても、大学を卒業してすぐ行けるわけではありません。

一旦は企業に入って実務経験をへてから、それを武器に受験するのがベストです。そのためにも、企業で実績をつくらなければなりません。まして会社派遣となれば、最初から、優良企業に入ることが必要になってきます。

その意味で、この自己実現派は将来、その会社の経営者になるか、サラリーマンとして最高給与をとれるファンドマネージャーや投資銀行員になるか、それとも起業家になるか、ほぼ3つの選択肢にしぼられます。まさに適職を若いうちにしぼり込んでいるだけに、人生の成功は約束されたのも同然です。

「実力をつけずに飛び出す」ケースが現在、異常に増加していますが、これはマスコミのホリエモン報道が、大きく影響しています。なんの実力の裏付けもないのに、起業家になりたい、という願望だけがふくらんでしまうのでしょう。

もしあなたがこのタイプだったら、そんな冒険はやめることを強くすすめます。成功の確率は、1万人に1人くらいだからです。


3.社長につられて飛び込む人は失敗する?
企業の価値をアップする近道は、社長を有名にすることです。よく単行本を出したり、雑誌の対談に出ている経営者がいますが、この内容に感動して入社を希望してはいけません。それはなぜなのか?

・企業の宣伝として、ライターが書き直している
・自分の顔と名前を売ることに夢中で、本業に精を出していない
・特に女性志望者を増やしたいために、笑顔いっぱいの顔を露出する
・中でもオーナー社長は、それによって金儲けをもくろんでいる

こういうケースが増えているからです。

ここでよく考えてみましょう。
社員が10人か20人の小企業なら、社長の声も顔も体も身近ですが、100人以上となると、社長の顔を見ることは、めったにありません。1000人以上となったら、顔は知っていても、一生、声をかけられることもないのです。

つまり大会社に入るときは、社長は自分となんの関係もない、と思わなければなりません。まして「社長の考えに共鳴した」などと話しても、なんの効果もないのです。

もし社長の考え方に共鳴するなら、100人以下の会社でなくてはなりません。そうであるなら、その社長があなたのメンター(心の師)になる可能性もあり、すばらしい関係が築けるでしょう。

社長にかぎらず、つられて飛び込んだり、入社したり、金を使うようでは、後悔する危険性があります。

特に女子学生は
・会社が人気の盛り場にある
・会社名が横文字でかっこいい
・社長が有名である
・ファッション性のある仕事なので、みんなにうらやましがられる

といったものにつられて入社します。ところが入ってから、その企業は怪しげな人間と裏でつながっていた、となることだってあるのです。

男子学生はそれとは違って
・美人の多い会社だ
・若い会社で、働きやすそう
・社長が颯爽としている
・給料が高い

といった理由で、つられていきます。

ところが入ったら、美人だと思った女性は面接日だけ狩り出されたコンパニオンだった、若い会社だけにノルマがきびしく、達成できなければ、給料が減らされていく、というシステムだった、ということもあるのです。

「つられる」には、それ相当の理由があります。それを見抜くのはむずかしいでしょうが、「欲」を外して考えてほしいのです。ほとんどが欲に目がくらむように、巧妙につくられているからです。


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