1.試験直前の追い込みには何をするのが正解

試験直前になると、マナ板の上の鯉のようにおとなしくなる人もいれば、「あれもしておけばよかった、これもしておけばよかった」と残念無念の精神状態に陥る人もいて様々です。

試験直前1週間で打つべき手をきちんと打てる人と、とりとめのない学習しかできない人とでは、試験の結果は大きく違ってくることも多いです。

おすすめは試験日を直前に控えたら、今まで学んできたことの総まとめをやるといいです。
試験直前には、そのときまで活用してきた参考書や、そこからつくりだしたカードを、はじめから終わりまでざっと目を通しましょう。

これは、過去に学んできたことを再度把握するためです。しかし、参考書の1ページ目から丹念に一文字一文字読んでいくわけにはいきません。

参考書には四色ボールペン、ラインマーカーを使ってマークを書き込み、段落づけをして重要ポイントがチェックしてあります。また、このようにノート化された参考書を開いて、1ページ目から、このチェックポイントだけを読んでいくのも良いでしょう。

全体を1から目を通していくのは時間のムダです。国家試験の合格ラインは、一般に六割からせいぜい八割程度なので、参考書のチェックポイントを再度読んで確実に頭に入れておけば、まず合格圏内に入ることは間違いないでしょう。

そして、それらのチェックポイントからさらに重要だと思われた部分を書き出したカードを取り出して、最初からざっと読んでいきます。すでに参考書のチェックポイントを読んでいるから、カードをパラパラとめくりながらどんどん目を通していくだけです。

これをしないで、自分の苦手な、あるいは得意な個所や科目だけに固執する人がいます。しかし、試験でおあつらえ向きにそこが出ればいいですが、他の個所から出題されてホゾを噛んでも遅いというものです。

全体をざっと再把握した後に特定の個所に時間をかけるのはいいですが、全体の把握をいいかげんにしたまま、特定の個所ばかりするのは、思わぬ落とし穴に落ちるおそれがあります。1度学んだことを直前に再確認する程度でいいのです。

また、試験直前では、それまで活用してきた参考書で学ぶのがいいです。「よし、試験当日までにあと1冊取り組むか」と新しい参考書を開くと、疑問点が出てきたりして、自信がグラつくのも困ります。

試験直前には、なるべく不安材料を持ち込まないようにしたいです。自分の手で至るところに書き込みをした参考書のアンダーラインなどを見ればこそ、「ああ、ここはこうだったな」と、すでに学んだことを思い起こすしたりできます。


2.睡眠時間を削っても何にもならない
数学の問題を解くのに睡眠時間を削って6時間、数学に重点をおいて学んだ日がありました。ところが、ページをめくって別の日の行動記録表を見てみると、同じ程度の問題を、わずか4時間で解いていたこともあります。この日の睡眠は、平均的時間でした。

この2日間の違いは、睡眠時間の長さの差だけです。睡眠時間を削った日は数学の問題を1問解くのに30分、通常の睡眠をとった日は20分で解いているのです。ここから得られる結論は簡単で、睡眠時間を減らしたことによって、学ぶ効率は低下していたのです。学習時間の長さだけを見れば確かに6時間学んではいるのですが、結局それは、通常時に4時間学んだときと同じ結果しか生んでいません。

2時間睡眠時間を減らしてそのぶん多く学んだつもりですが、実は、単に睡眠時間を2時間減らしただけの、時間の浪費にすぎなかったのです。

長期的に見れば、睡眠時間削減は学ぶためには役立ちません。百害あって一利なし、そのために体調をくずしたら、さらに時間を浪費することになってしまいます。
時間が足りないという錯覚をしている人は、なんとか時間をつくる方法はないかと考え、睡眠時間を削ることを考えます。

しかし、それによって得られるものはほとんど何もないのです。学ぶ時間だけ増えても、それによって学習効率が低下していけば、結果的には学ぶ効率と睡眠時間の両方を減らしてしまうことになってしまいます。

また、睡眠時間を削ることによって、自分への言い訳を用意することにもなります。
たとえば、今日は睡眠時間を4時間削って学ぼうと決めます。

すると、「今日は時間がたくさんあるのだ」という油断が生じてしまうのです。そして、「少しくらいゆっくりしても、いつもより4時間も多く時間があるのだからだいじょうぶだ」と考えて、ムダに時間を過ごしてしまうのです。

そのうち、いつもは眠っている時間に起きているために、身体が疲労してきます。すると、深夜になればなるほど、何もせずにただぼんやりと起きている時間が増えてしまうのです。

さらに悪いのは、翌日です。前夜の疲れがたまっているから、学ぶ効率の低下状態は続いている状態です。
そのうえ、自分では前日に4時間多く学んだと思い込んでいるから、「昨日は4時間も多く学んだのだから、今日は早めに切り上げても十分プラスになる」と勝手な理由をつけて、やめてしまうのです。

はたしてこの2日間でどれほど学べたかといえば、通常の1日分にも満たないでしょう。これが受験生がよく陥るパターンなのです。

しかし、睡眠時間は確実に減り、疲労は身体に蓄積されてしまっています。
行動記録表をつけはじめたことで、睡眠時間削減が決して学ぶためにならないことを知ってから、毎日の睡眠時間をきちんと確保することにしました。
睡眠時間を十分に取るかわりに、起きている時間はフルに活用し、効率よく学ぶことを心がけることにしました。

睡眠時間を削ることからは、何も生まれません。時間がないから睡眠時間削減という短絡的な考え方では、試験という長期戦を戦っていけないのです。


3.試験が近づくにしたがって、やることを少なくする
試験直前の勉強は不安を増大させるだけ
試験が近づいてきたら、勉強しなければならない範囲をだんだんとしぼり込んでいきます。
「自分は本番に弱い」と嘆いている人は、たいがい、試験本番が近づくにつれて、勉強しなければならない範囲を広げていってしまう傾向があります。

しかし、それをやってしまうと、「これもやってない。あれもやっていない」と、試験本番が近づくにつれて、どんどん不安になっていきます。
よく試験会場で自分の席についてから試験がはじまるまでの数分間でさえも、テキストにしがみついている受験生を見かけますが、こういう人は、たいていこのタイプです。

これは試験直前の精神状態としてはマイナスです。実際のところ、試験本番で実力を出し切れるかどうかは、最終的に自信のある・なしが決め手になってくるからです。

試験が近づいてきたら、勉強しなければならない範囲をどんどん減らしていくことです。
できなかったところだけを復習するという勉強法をとれば、試験本番が近づけば近づくほど勉強しなければならない範囲は減っていくはずです。2回やってできたところは、3回目以降はやる必要はありません。

そうやって「できなかったところ」をどんどん減らしていくと、勉強しなければならない範囲が減っていくだけでなく、本試験に向けての自信もついていきます。

本番直前の勉強は、できなかったところの復習を中心にしよう。


4.難問ほど試験直線に勉強
日本には「武士は散りぎわを美しく」という価値観があります。こと試験に関する限り、この価値観は捨ててほしいのです。会場では受験直前まで参考書を離しません。試験係に「みなさん、参考書はしまってください」と言われるまで、最終点検用のカードやテキストにしがみついています。

この時間の使い方でとくに有効なのは、自分にとって苦手な知識を、わずか5分前に、それこそ丸暗記してしまうことです。試験が終わるまで記憶が持てばいいのです。

私には、こんな成功体験があります。消費生活アドバイザー試験で、「標準偏差値の出し方」という項目がありました。数学とは縁遠い私には、テキストを読んでも、チンプンカンプン、まるで歯が立ちません。前日に覚えたとしても、すぐに忘れてしまうことは、火を見るよりも明らかです。

そこで一計を案じたのです。「数式は、休憩時間、試験の5分前に丸暗記しよう」と。そうしたら、これがズバリ出題されたではありませんか。問題用紙を見て小躍りして喜びました。試験は、直前まであきらめてはいけないという教訓が、ここにあります。
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