1.口述(面接)試験では試験管の質問に即座に回答しよう!
口述試験に向けての事前準備
口述(面接)試験には、大きく分けると2つのタイプがある。1つは
入社試験などのように、受験生の態度や人柄を見る試験。もう1つは国家試験などのように、どちらかというと、態度や服装ではなく、専門的な知識がどの程度備わっているかを見る試験である。
したがって、当面する試験において、試験官が何を見たいのかを判断して、こちらがそれに的確に対応しようという工夫・アイディアが、大切な事前準備になる。記述式試験の場合は、与えられた問題を前にして、何を書くかを15分から20分くらいかけてじっくり考えてから、はじめて書きはじめる。
論文の書き方としては、それが正解である。
では国家試験の口述試験はどうか。よく海外とのテレビ中継で見られることだが、アナウンサーが日本から、海外のレポーターに語りかけるシーンが映し出される。
「○○さん、そちらの様子はいかがですか」すると相手のレポーターの姿は映されているのに「……、はい、非常に緊迫しています」などと、……のように1、2秒、反応が遅れることがある。
これは衛星を使って電波を送っているので、その時間差によるものだが、聞いていて違和感を感じないだろうか。つまり問いかけたことに、即座に返答のないもどかしさである。
口述試験では、試験官から問いかけられたことに、即座に返答しなければならない。10分も20分も考え込むことは論外としても、問いに対しては、仮に予想外の質問をされても、あまり考え込んではいけない。
口述試験は即答能力を要求されるものである。たとえば、試験官は結論は何かを聞いているのに、その理由を「こう言おうか、ああ言おうか」などと経過だけを考えて、何も発言できずに10分もたってしまうと、そこで試験は終わってしまう。
最悪でも、たとえば、出された問題を大きくとらえすぎているかもしれないので、「あがっているせいか、試験官のおっしゃるご質問の意味がわかりかねますので、もう一度お聞かせいただけますか」といったような返答をする。
問われたことに対して、2分も3分も考え込んでいると、試験官に「この受験生は何を考えているのだろうか、こんなことも知らないのか」と、不信感を持たれてしまうおそれがある。
とにかく、何かを話してくれないと試験官も対応のしょうがない、と知るべきである。自分が予想していたことと違った質問をされたので戸惑ってしまったり、あるいは、あがってしまって、言葉がすぐに出ないこともある。
しかし、話しているうちに質問の真意がわかってくることも結構あるので、とにかく、どんなことでもいいから、発言することだ。黙り込んでいては試験場も重苦しい雰囲気になり、ますます答えが出なくなってしまう。
したがって、「この問題はどう考えますか」と聞かれたら、1、2秒は考えてもいいが、5秒も10秒も沈黙してはいけない。先に述べたように「こういうことならわかるのですが、ただいまの質問はよくわかりません」と話すなど、即座に反応することである。
また、あがり性の人は「すみません、ちょっとあがってしまい、質問が十分に理解できません」などと答えるほうが、沈黙しているより試験官の印象は相当よくなる。
その場の雰囲気もグンと明るくなるし、試験官もかわいそうだと思い、質問の仕方を変えてくれたりして、救われることにもなる。
たとえば、司法試験の口述試験は、弁護士にしても検察官にしても、合格後の仕事は話すことが大きな要素になるという前提で設定されている。合格しても話すことができなかったり、苦手であっては困るわけだ。つまり適性試験の1つといってもいいだろう。
話すことが苦手、下手だということは弁解にならない。苦手なら苦手なりに、下手は下手なりの会話術を身につけておかないと合格できないし、合格後の仕事にも支障をきたすことになる。
敵を知るとは、その目的を察知して、即座に対応することであり、ここでは「話すことの能力を問われている」と気がつかなければいけない。
択一試験、論文試験をクリアして、口述試験が最後の難関になるわけだが、試験官とまともに会話が成り立ちさえすれば、まず合格できる。
筆記試験をほぼ同じレベルでクリアしてきた人を、話す能力があるかどうかを試してさらに落とすのが口述試験なので、ここで、まともに会話ができないようであれば、間違いなく振り落とされてしまう。したがって、ここでも暗い部屋に閉じこもって勉強ばかりしているのではなく、口述試験に備えてその訓練をしておくことだ。
勉強したことがインプットされていなくて、会話ができないというのであれば、問題外であるが、そうでないかぎり、訓練を重ねていけば、必ず話せるようになるはずだから、頑張って練習を繰り返していただきたい。
訓練をする場合、ただ、やみくもにするのは効率的ではない。やはり過去に出題された問題が掲載された雑誌や単行本を参考に、友人に試験官になってもらうなどして、実際に口述試験をシミュレーションしてみるとよい。雰囲気がわかって非常に参考になるはずだ。
司法試験の口述試験などでは、項目だけのもののほか、実際の問答を再現したものもある。実際に体験しておけば、試験場に行ってはじめて体験するよりも、ずっと有利である。つまり、慣れておくのが一番の早道である。
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