少子化社会で一流大学の競争率はどうなってる?
少子化により、大学入学などの競争は緩和されたのだろうか。答えは否である。ここで、少子化社会と教育格差について考えてみたい。
少子化とは、合計特殊出生率、すなわち一人の女性が一生に産む子供の数で表される。家庭の奥さんが子供を産まなくなったのではなく、女性が結婚に躊躇するのが原因である。すなわち、晩婚、非婚である。
数年前に、年金制度の改正法案の議論がなされた折、この合計特殊出生率が問題視された。年金受給者を支えるべき世代の人口動態が重要視されるからである。このときに1.32であるか、1.29であるかで非常にもめたのである。ちなみに平成18年では1.25である。
この数値だけを見れば、面白い統計がある。主要国の合計特殊出生率の変化として、米英仏では、2.5程度が2ほどにわずかに低下している。日独伊では2から1.3へと大きく低下した。連合国と枢軸国の結果がこのようなところに出たわけではないだろうが。特徴的なことは、東アジアの新興国が3から5ほどもあったものが、日本よりも下回っているのである。
平成17年度内閣府発行の少子化社会白書によれば、少子化はなにも日本に限ったことではなく、東アジア全体に共通した傾向である。韓国では1.16。台湾では、1.18である。シンガポールでは1.24。戸籍ということになると少々怪しい、一人っ子政策が定着したはずの中国では、1.83である。香港に至ってはなんと0.93に留まる。
これらの国々に共通していることは、急速な高学歴化を背景にした、受験競争と獲得賃金競争の激化ではないだろうか。
機会収入という概念に照らし合わせれば、高学歴を前提として、子供をもうけずに生涯就業した場合と、出産育児などの中断による生涯賃金に大きな差があるという社会制度上の問題があるわけである。
また、高学歴ゆえの高収入があればこそ、非婚率や晩婚化を後押しする要因になるであろう。
女性の場合、高いステータスほどその伴侶たる男性の選択肢が狭まってしまうのである。また、男性の側から見れば、不安定な雇用状況、低い年収では
家庭を構築するのにためらいが生じるのである。
日本の将来を考えるとき、確かに明日を担う青少年たち、生産年齢人口の減少は何よりも暗い影を落とす。年金制度なんでものは存続できなくなるであろう。しかし、単純労働、肉体労働などは何も、私たちの子孫に担わせなくても「外注」すればよいのではないだろうか。我々日本の子供たちは、優れた頭脳を持って管理に徹するか、優れた技能、技術を身につけるなどのエリート集団に特化すればよいのである。
そこで、少数の子供たちであっても、外国に負けないような教育を行うことによって、この国をいっそう栄えさせることを考えるべきではないだろうか。「百年兵を養う」という言葉は、そのまま「教育」に置き換えれば、この国の未来設計につながる戦略になりうる。
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