1.転職は回数より35歳までを目安としてスキルアップを目指して会社を選ぼう
転職は3度までが目安
転職はいまや当たり前、と思わなければなりません。キャリアアップのために、戦略として、転職することも必要な時代だからです。
こんなときリクナビや転職雑誌は大へん便利ですが、戦略としてのステップアップであれば、最初から「この業種」あるいは「あの会社」と、決意を固めておくべきでしょう。
「新しい情報はないか?」といった軽い気持ちで、会社をさがさないことです。目移りしはじめたらキリがなくなります。
福原愛は日本期待の卓球選手ですが、早くから迷わず、中国のスーパーリーグに行くことを決めていました。それも中国2位の遼寧省チームを目ざして、中国語を勉強していたのです。
実にみごとな戦略で、2008年の北京オリンピックを見据えての移籍です。恐らく周囲からは、さまざまな誘いがあったでしょうが、新しい情報に目も耳もふさいだことでしょう。
しかし、現実は愛ちゃんのようなステップアップは、そう多くありません。希望の会社に行けなかったため、次々と転職を繰り返す人たちがほとんどです。
ここで損トクからいうと、転職は3度までと思います。またそう覚悟を決めないと、転職イコール転落人生になってしまいます。10人中6人は、転職の可能性が高いのです。あとの2人は転職するより、バイト化するかもしれません。
では6人の転職者がどうなるかといえば、これもまた〈2・6・2)に分れて、成功者は1人、まあまあが4人、失敗者が1人になります。これを3回繰り返したら、もう明らかに、転職ズレしてしまうでしょう。また転職者を受け入れる会社も、3回もやめてきた人が、自分のところに「長く居ついてくれる」とは思えません。
同じ転職でも、キャリアアップの場合は大違いです。堂々たる成績を引っさげて、次の職場に行くのですから、収入はどんどん増えていきます。
ヘッドハンティングでの転職となると、仕度金や、前の会社の借金まで返してくれるというケースも珍しくありません。当然のことながらファンド関係、外資関係となりますが、こちらは経験、経歴が金につながるだけに、身を削って収入増を狙うことになります。
欲をいえば、転落型の転職を繰り返すより、収入アップの転職人生のほうに向かうべきでしょう。
ひと頃に比べると、最初に入った企業に留まる社員は激減しています。企業によっては半数以下でしょう。これが転職市場を活発にして、外側から見ると、いかにも大勢の同年齢の仲間が、出たり入ったりしているように思えるのです。
しかし、実際のところ、この見方は間違っています。というのは1人で何回も転職しているケースが目立つからです。ところがこれは数字に表われません。かりに10人のうち6人が転職ゼロでも、残りの4人が3回ずつ退社、転職を繰り返したら、数字上は10人12回転職したことになり、「そうか、やっぱりみんな、1回は転職しているんだ」と「転職が常識」のように誤解しがちです。
またIT関係、金融関係での転職が、極端に目立つため、転職が一種のファッションのように扱われるようになっています。
だが転職した先輩たちの話を聞いたり、読んだりすれば、すぐわかるように、そう甘くはありません。ここで年齢の問題が登場するのです。
若いうちであれば、転職の回数が3回になろうとも、損するどころか、ホップ、ステップ、ジャンプで大成功することも、大いにあるでしょう。
ところが30歳を超えての転職となると、企業も世間も、見方がきびしくなります。ときには収入が半減することもありえます。ましてそれが3回以上であれば、「こいつはまたいつかやめていくな」と、会社側は中核社員の中には加えないでしょう。
実は、ここが重要なのです。あなたは「中核社員」又は「中心社員」など、まったく知らないでしょうが、2回以上の転職組は、その時点で「外様社員」であって、その会社の中心に座ることは、ほとんど不可能です。
それは忠誠心に欠けているからです。それでも社会に出て数年の間の転職組であれば、会社の旗本に加えられるでしょうが、30歳を過ぎると、スキルで会社に貢献しなければなりません。スキルであれば、金銭を対価とします。
ここで飛び抜けたスキルであれば、高収入を以って迎えられますが、前の会社にいてもそれほど成績を上げられなければ、新しい会社でも、それを実際能力と見なし、収入を下げることになります。それは実にシビアです。
特に近頃は、どの企業もIT革命の結果、非常に若返っています。
以前であれば、45歳がビジネスマンとしての成熟年齢でしたが、いまは10歳若返って、35歳が成熟の限界です。転職をするのであれば、なるべく早いほうが有利に作用するでしょう。
30代半ばでの異業種への転職は、資格があっても難しい
資格を選ぶ際には、ご自分の年齢についてもある程度、考慮する必要があると思います。というのも、企業への転職を目的としている場合、年齢の問題はたしかにあるからです。
転職の世界では、「35歳限界説」などとよくいわれています。少子高齢化で、今後、高齢者への雇用の門戸は広げられていくことが予想されますが、現段階では、やはり30代半ばをすぎると転職はなかなか難しくなります。
もちろん、誰もが30代半ばをすぎると転職が難しくなるというわけではなく、その分野でそれなりのキャリアを積んだ人ならば30代半ばをすぎても、さらに上を目指しての転職が可能です。ただ、これまでのキャリアとまったく異なる業種への転職については、「かなり厳しい」といわざるをえないのです。
そこで、30代半ばをすぎてから資格取得を目指す場合で、企業への転職を考えている人は、いまの仕事の延長線上で資格を選ぶのが賢明です。いまの仕事を継続していく上で役に立ち、かつ収入アップにつながる資格を選ぶのです。
独立・開業の場合、年齢やキャリアは大きな武器となる
一方、同じく30代半ばをすぎてから、これまでの仕事とはまったく畑違いのものに挑戦したいという人もいるでしょう。その場合、企業への転職は非常に狭き門となりますから、転職ではなく、独立。開業できる資格を選ぶのがよいと思います。
実際、見事に資格を取得し、独立・開業できた場合、年齢やそれまでの経験が大きな強みになることも少なくありません。
経験が生かされるのは、なにも会社の仕事だけではありません。これまでの人生において積み重ねてきた経験も資格を生かすのに有用だと思います。
たとえば、専業主婦の方は、家事や子育ての経験を介してさまざまな知恵を持っていることと思います。そうした知恵を資格と結びつけ、そこから自分独自の新しいビジネスを展開していくことだってできるのです。
企業への転職を視野に入れた場合、年齢はある程度デメリットになりますが、独立・開業を考えた場合、年齢とともに積んできた人生経験が逆にメリットになるのです。
シニア層の転職は追い風の兆しも
最後に、転職についてつけ加えておけば、高齢化社会が進む現在、シニア層の採用に積極的な会社も出てきています。
最近は、シニアの方向けの雇用セミナーも頻繁に開催されていますから、企業への転職を考える場合、そういった場所に足を運んで情報収集をするとよいでしょう。
入社試験を受けるに当たって、系列会社、子会社が、どのくらいあるのかを調べるのも重要です。あるいは転勤の有無や、くわしい情報も知っておくことです。それこそ転勤先の住居がどの程度かも調べるべきです。
多くの受験生は、こういう現実を無視しがちです。なぜなら入社したら「自分は本社で一直線に出世していく」と夢見がちだからです。しかし系列や子会社がたくさんあるということは、そちらに行かされる危険性が大きいということであり、ある年齢で収入がガクッと減る、ということです。
ある企業の部長は本社役員を目の前にして、子会社の役員に行かされました。ここで成績を上げれば、本社の役員だ、というエンジンをぶら下げられて赴任したのですが、そこで20パーセント収入が下がり、なんと2年目でその子会社は解散となってしまったのです。
名前だけでも役員ですから、責任をとらされて無職。つまりはクビです。系列や子会社の多い大企業には、こういう未来が待ち受けているかもしれません。
またどんなにすばらしい会社でも、転勤ばかりとなると考えものです。保険会社の場合は東京や大阪、あるいは福岡などを起点として、三角形の転勤システムをつづけていくところがあります。
たとえば東京で入社すると、さっそく静岡3年、富山3年、計6年間地方回りして一旦東京に戻り、次に今度は岐阜に3年、金沢に3年といった旅がらすになるのです。
しかしこれなら東京に戻れるチャンスはありますが、入社して23歳で秋田7年、福井に5年飛ばされて、帰ってきたら35歳になっていた、という泣ける話もざらに転がっています。
ある企業の岐阜支店では朝起きたら、枕元に雪がつもっていたというボロ社宅のケースもあります。これらはすべて体験した本人から聞いた実話ですし、聞けばびっくりするような一流企業です。
転勤の多い超優良企業に入るより、転勤のない中小企業に入るほうを選びますが、そのほうが、金銭的にも有利になる場合もあるからです。
まして人生で一番大事な時期を、地方や海外で過ごさざるをえないと、情報も遅れる上に、結婚にもさしつかえます。転勤に慣れない妻が病気になったり、ときには離婚になるという悲劇も生まれています。
あるいは子どもの学校のために単身赴任せざるをえない人もいますが、こういった転勤ばかりの企業にいると、うつ状態の妻を抱えたり、ときに不倫も起こって、家庭が崩壊してしまうこともあります。
学生時代から一人暮らしの男女は比較的転勤に強いのですが、家庭から通うのが習慣になっている人にとっては、転勤を甘く見るのは禁物です。たとえ中小でも、自分のこれまでの生活を崩さないですむ企業選びをしたほうが安心です。
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