記述式試験の書き方のノウハウ

記述式の問題を出す試験は、最近では中学入試のレベルでも多くなってきた。たとえば、社会の出題などで、200字以内とか300字以内で書けといった要求がされる。○×式の答案しか書いたことがない受験生が、いきなり記述式試験に臨むと、パニック状態に陥り、どうしていいかわからないことになるのも当然だろう。

書くことに慣れている人からすれば、100字程度の分量は大したことはないし、200字や300字であっても、書いてしまえばすぐに埋まると思うかもしれない。

しかし、いざ、試験場でマス目だけを突きつけられると、慣れていない人には100字でも大変な量なのである。まして、司法試験などのように、B5サイズの便箋8ページにわたって書く場合、相当に訓練しておかないと、指定された時間内ではとてもクリアできない。

ただマス目を埋めるだけであれば、何とかこなせるかもしれないが、書き慣れていないと、時間内にきちんとした論旨の通ったものにならないし、量が多すぎたり少なすぎたりするおそれもある。

普通、勉強というとインプットが中心になりがちだ。本を読んで内容を理解するとか、辞書を引いて単語を理解し、記憶するとか頭の中に入れることが優先されがちだ。

試験とは、そういう仕入れることだけではなく、もう少し範囲が広くて、インプッ卜した情報をもとに、その情報をどういろいろな問題解決に生かしていくかも試すものなのである。

また、インプットした知識を試験でアウトプットするときに、ぴたりとあてはまればよいが、だいたい多少のズレがある。つまり、インプットしたものをそのまま使えるとはかぎらないのである。

したがって、学ぶ過程でその両者がぴたりと一致するように訓練しているかどうかがポイントになる。学ぶ量は同じでも、アウトプットの訓練をしているかどうかで、ゼロと100ぐらいの差が出てしまう。

敵を知るということは、出題者からどういう形式で出題されるのか、たとえば、同じ法律の問題でも選択式なのか、それとも論文の形で解くのかといった研究でもある。
具体的に論文の書き方のノウハウにも触れておく。最も大切なのは、与えられる問題に対して、間違いがないような答案のパターンを、いくつか自分なりに用意しておくことだ。

たとえば、司法試験の場合、出題される傾向として大きく二つの問題に分かれている。一つは「○○について説明せよ」で、もう一つは「この事例についてどう考えるか」というものである。「○○について説明せよ」的な設問に対しては、過去の出題傾向をしっかりつかんでいれば、それほど苦労せずに合格ラインを突破できる。

「この事例についてどう考えるか」的な設問に対しては、設問の中に論ずべき論点がおよそ3つか4つ程度あるのが普通だから、その論点についてまず、「自分はその要求されている論点に気づいたよ」ということを述べる。

たとえば、条文にあてはめてみて、すぐに答えが出るようなら大した論点ではないわけで、条文にあてはめようにも、すぐに適切な条文が見つからないとか、あてはまりそうだが、そのままでは結論が妥当でないような事例こそが、論点になるのである。

学者によって学説が違うことが多々ある。受験者はその学説の違いを指摘しつつ、たとえばA説とB説があるとすれば、まず、説が二つに分かれるということを書き、次に自分はどちらの説を採用するかを書く。

それだけではまだ不十分で、「なぜ自分はA説を採用したのか」と、その理由づけまで書かなければ、不合格の論文になってしまう。

これだけの展開で、一つの論点が大体B5サイズの便箋1枚分の量になる。そこで3つか4つの論点を同じ手法で展開すれば、便箋4,5枚分になり、ほぼ合格答案になるのである。

次に大事なことは、国語の試験と違って、法律や会計、その他専門的な国家資格などでは、その部門の専門用語が正しく使われているかどうかが問われる。この専門用語の使い方が間違っていたり、誤字があったりすると致命的である。

「確実にこの問題だけは間違いなく書ける」というものをまず押さえることも大切だ。使えない知識をいくら頭に入れても、試験場で役に立たなければ意味がないと、学ぶ過程で決めてしまえばよい。

後でも述べるが、試験は膨大に存在する知識の中から20パーセントが出題の対象になる。そのわずか20パーセントの部分を確実に押さえておくことが大事なのである。

また、司法試験のように、条文を説明する場合、相当に論理的な構築がなされていないと、合格点は取れない。いかに文学的にすぐれた表現を使っても、書いてある内容が論理的でないと合格点は取れないのである。

細かいことでは、段落をきちんとつけたり、句読点もはっきりつけること。試験官が読みにくいものでは、不利である。論文は試験官に「読んでもらうものだ」ということを、常に念頭に置いておかなければならない。

もう一つ、時間内に仕上げる訓練もしてほしい。
論文試験では得てして時間が足りなくなり、答案が尻切れトンボになりやすい。これを防ぐにはストップウォッチを使って、一分間に何文字程度書けるかを把握し、時間内にゆとりをもって書き終えられるように訓練することだ。

与えられた問題に対して、どう展開するかを最初に15~20分かけて考え、それから書きはじめるわけだが、一分間で書ける文字の量を計っておかないと、展開を考えた時間そのものがムダになってしまう。

同じレベルの論文であれば、大項目、中項目、小項目の項目分けがきちんとできており、なおかつ起承転結がはっきりし、段落、句読点の入れ方もまあまあで、制限時間内に決められた分量をきちっと書き上げてあるほうが優位に立てる。

このようにできるようになるには、やはり各科目の学ぶ時間を割いてでも、書く訓練をしなければならない。頭の中で解けても、文字で表現できなければ、ゼロ点と同じだ。

たとえば、便箋8枚に制限時間1時間で書くとすれば、まず、与えられた問題を見て30分も「何を書くか」を考えてから書きはじめては、書き出してから不備に気づくことが多いので、後で読みなおす時間もなく終わってしまい、不備な答案のまま提出せざるを得なくなる。
記述式の試験がある以上、ふだんからその訓練をしておくのも、試験勉強の一環である。


60分で論作文を書くときの注意点
試験場で論作文を60分で書く場合、どんな点に注意したらよいのでしょうか。まず理想的な時間配分は、こうなります。

①出題の趣旨の理解と答案構成に……10分弱
②実際の答案作成に……43~45分
③誤字、脱字の訂正(添削)に……7分

①の答案構成では、出題の趣旨を理解し、テーマについて思いつく限りのことを書き出してみます。次にそれらを、共通項目、反対項目、その他の項目などに分類して、叙述の順序を組み立てていきます。
②で答案の作成をしたら③の添削です。ただし③は必須のものではありません。

大事なのは、なんといっても②の答案作成です。その時間を削ってまで、誤字・脱字の訂正をする時間を捻出すべきではないのです。
答案作成に時間がかかり③に回す時間がなくなったとしても、やむを得ないと考えるべきでしょう。

60分の論作文を45分で書いてみよう
論作文の力をつける訓練方法を紹介しましょう。英検受験指導のある学校では、毎回模擬試験形式の答案練習をしていました。英検も準1級以上となると、時間がモーレツに足りなくなる試験です。ところがこの学校では、その短い時間よりもっと時間を短くして、答案練習をしていたのです。

この訓練の方法を、論作文の訓練に応用してみましょう。
たとえば制限時間60分の試験がある場合、自分で練習するときには50分という時間設定をして書き上げてみます。最初は大変でも、練習を続けるうちになんとかこなせるようになります。そうなったら、今度はさらに時間を縮めて45分で書いてみます。

これもはじめは苦労しますが、やがて慣れてくるでしょう。
酸素濃度の薄い高地でトレーニングを積んだマラソンランナーが、酸素の濃い平地で走ると強いものです。それと同じで、少ない時間で書く訓練をしていると、60分という時間には余裕を感じられるようになるから不思議です。
その分、わかりやすく、内容の濃い文章が書けるようになるでしょう。
この記事を見た人は、一緒にこんな記事も読んでいます!


メニュー表示