認知症ライフパートナー検定|認知症ケアにおける専門職

1.認知症ライフパートナーとは
認知症の人がその人らしい生活を生き生きと送るための手法として、アクティビティを用いたプログラムの活用が大きな意味や役割をもちます。

認知症の人のためのアクティビティは、本人にとっても、また、支援する側にとっても楽しんで取り組むことがとても大切です。

両者が楽しみながら取り組むことで、脳の活性化や心身の機能維持さらにその人の楽しみや生きがいやQOL(生活の質:Qualityoflife)の向上につながることが期待されています。

認知症ライフパートナーとは、認知症の人に対して。これまでの人生や生き方、価値観を尊重し、日常の生活をその人らしく暮らしていけるように、本人や家族に寄り添い、サポートできる人です。

また、その人の「できること」を活かすために、アクティビティを用いたプログラムを活用しながら支援することのできる人です。

ここでいう認知症の人に対するアクティビティでは、特に昔からの生活のなかでなじみのある遊びとして楽しんでいたこと、日常生活のなかであまり意識することなく自然に身体や手を使うことなど、脳を活性化させるようなプログラムが用いられます。

その場面において本人の「出番」や「役割」をつくるということが、プログラムを継続していくうえで、とても重要なポイントになります。認知症ライフパートナーは、アクティビティを通して、認知症の人や家族の生活改善につなげるということが役割の一つになります。


認知症ライフパートナーの役割
認知症の人に適したプログラムの選択
認知症の人のケアにおけるアクティビティという用語について、現状では、意味や内容について定義・分類されているわけではありません。

現在、アクティビティとしては、調理などの家事仕事や家庭菜園の手入れ、「読む・書く・計算」などの簡単な学習、各種ゲーム、簡単な運動やスポーツなどの趣味や娯楽として行われるもの、音楽、絵画書道、生け花、手工芸創作・表現活動などから、すでに療法として行われている音楽、絵画園芸回想、化粧、動物を介在したかかわりなど専門的なものもあり、数多くのプログラムが実践されています。

このなかから、認知症の人の気持ちに沿ったプログラムを選択することが大切です。

認知症の人の気持ちの把握
認知症の人のケアでは、認知症の人と、家族や介護者の相互の関係を築くためのコミュニケーションがとても重要になります。しかし、言葉によるコミュニケーションが十分機能していない認知症の人にとっては、言葉の意味を理解し、納得して、ものごとにあたることは困難です。

例えば、状況に応じた話ができない、同じことを何度も繰り返すなどがみられ、言葉によるコミュニケーションがとりにくくなります。そのため、その人の慣れ親しんだ習慣やその人のできる作業、その人が好む音楽や園芸などといったアクティビティを活用することで、言葉を超えたコミュニケーションを図ることが可能になります。

認知症ライフパートナーは、認知症の人のコミュニケーションの特徴、本人や家族の気持ちを理解することが大切です。そのうえで、具体的なアクティビティを提案し、ともに実践することが役割として求められています。

認知症とは
認知症とは、いったん正常に発達した脳が、いろいろな原因でそのはたらきが悪くなったり、認知機能に障害が起き、生活に支障が出ている状態を指します。高齢者に多くみられますが、単なるもの忘れとは違う、脳の病気です。

認知症の有病率
認知症は病気です。病気ですので、誰もがなるものではありません。認知症については、特に、「年をとったら誰でも呆ける(=認知症になる)」ということをいう人がいますが、少なくとも認知症は病気ですから、なる人とならない人がいます。

例えば、すべての人が癌になるわけではない、心臓疾患になるわけではない、糖尿病になるわけではない、ということと一緒です。では、認知症になっている人はどれくらいいるのでしょうか。

病気にかかる割合を有病率といいます。地域と調査年代によって異なりますが、65歳以上の高齢者の認知症の有病率は3.4~7.3%であり、5%前後であるといえます。

認知症という言葉の意味
この認知症という言葉は、正式な病名ではなく、病気の状態を示す総称です。たとえていえば、癌や風邪と同じような意味合いです。癌もいろいろな癌の総称です。認知症も同じであり、病名であれば、後述する「アルツハイマー型認知症」や「脳血管性認知症」ということになります。

また、認知症は、2003(平成15)年までは「痴呆」と呼称されていました。しかし「痴呆」は侮蔑的な表現であるという民意を受け、厚生労働省が検討会を開き、2004(平成16)年に「認知症」という名称に変更しました。変更当初は行政用語として使用されましたが。

現在では医学の分野でも使用されるようになっています。認知症を学ぶにあたっては、この名称変更の社会的背景も理解し、認知症に対して侮蔑的な意味や差別的な感情をもたないように配慮することが大切です。

2.認知症ケアにおける専門職一覧
医師(かかりつけ医)
(国家資格)
日常的に診察を受けている医師のこと。在宅ケアでは、訪問診察を行う。また、介護認定においては、「主治医の意見害」を作成する。

社会福祉士(ソーシャルワーカー)
(国家資格)
福祉に関する相談や助言、援助を行う。社会福祉資源に関する知識のある専門家で関係機関との連絡や調整なども行う。


介護福祉士
(国家資格)
入浴、排泄、食事などの介助など介護全般や、それにかかわる指導を行う。

ホームヘルパー(訪問介護員)
高齢者や障害者の自宅を訪問し、身体介護、家事援助相談や助言を行う。資格は1~3級まで。

介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護保険制度にて利用者が適切な介護サービスが受けられるよう介護サービス計画を作成したり、事業者・施設との連絡や調整をしたりする。

看護師
(国家資格)
医療現場でのサポートや、患者の療養上の世話を行う。介護保険制度では訪問看護師として利用者宅を訪問したり、施設で看護師として医療ケアなどを行ったりもする。
基本動作能力の回復を目指し、筋力向上のための運動療法や、温熱電気ショックによる物理療法を中心としたリハビリテーションを行う。

理学療法士
(国家資格)
基本動作能力の回復を目指し、筋力向上のための運動療法や、温熱電気ショックによる物理療法を中心としたリハビリテーションを行う。

作業療法士
(国家資格)

家事や工作など職業的、創造的ハビリテーションを実施し、心身機能の回復活動や日常生活動作など、作業を通じてリハビリテーションを実施し、心身機能の回復の援助を行う。


言語聴覚士
(国家資格)
言葉によるコミュニケーションに問題がある人に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職。摂食・嚥下の問題にも専門的に対応する。

保健師
(国家資格)
地域住民の健康管理や保健指導を担当する。
健康、介護相談を受けたり、地域の保健・医療、福祉活動の支援を行ったりする。

精神保健福祉士
(国家資格)
精神障害者やその家族が抱える社会生活上の問題に対して相談にあたり、社会復帰に向けて援助を行う。精神科病院その他の医療機関・施設など。

臨床心理士
こころの問題が原因で、身体の異常や生活上の問題などを引き起こした人を心理学的な方法を用いてサポートする。カウンセラーやセラピストとも呼ばれる。(財)日本臨床心理士資格認定協会による資格。

認知症ケア専門士
認知症ケアに対する優れた学識と高度な技術および倫理観を備えた専門技術士。認知症ケア技術の向上ならびに保健・福祉に貢献することを目的とする。更新制。日本認知症ケア学会による認定。

福祉用具専門相談員
福祉用具の専門知識をもち、適切な用具の選び方、使い方などを助言する。介護用品の販売やレンタルなどを行う事業所には、2名以上の専門相談員を配置することが義務づけられている。


福祉住環境コーディネーター
高齢者や障害に住みやすい住環境を提案するため、各種の専門職と連携をとりながら改修プランを作成する。また、福祉用具などについてもアドバイスを行議所・施行商工会議所主催の検定試験。


3.おすすめの参考書
おすすめの参考書はこちらです。



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