1.国内資格の国際化

国際派ビジネスマンとして活躍するうえで武器になるのは、英語関連資格ばかりではない。日本の企業が世界に触手を伸ばす「外への国際化」だけでなく、海外の企業が日本に進出してくる「内への国際化」も忘れてはならないのである。

最も大きな流れのひとつは、米国で一日に10件も発生しているM&A (企業買収。合併)の旋風が日本にも上陸したことであろう。

米国の有力な企業各社は、自社内に独自のM&A部門をもっているのが普通である。乗っ取れそうな企業を探して調査を進めたり、逆に自分たちの企業が乗っ取られそうになったときに有効な防衛策を講ずる部署が、まるで軍の情報収集機関のように、つねに世界の企業に目を光らせている。

米国でも日本でも、もうこれから新しいベンチャー企業を起こして高度成長を図るという時代ではなくなっている。企業同士がどのように再編を重ねるかが企業成長のポイントだ。

日本でも、ここへきてM&Aが盛んに行われるようになってきた。すでにミネベア、リョービ、セコム、青木建設、ミサワホームなどがM&Aで実績を上げている。もちろんM&Aには国境などないから、いずれ、松下や新日鉄が外国企業から買収され、IBMやエクソンを日本の企業が買収するような時代がやってくることは十分考えられるのである。

このM&A、企業がひとつの企業を丸ごと買い上げるわけだから、動く金額はケタはずれに大きい。
買収金額が10億ドル以上というのもザラである。

そのため、これを仲介する企業も急増中だ。成功報酬が数%でも数千万ドルが懐に入るのだから、非常にうまみのある仕事である。
といっても、鉄鋼会社や食品メーカーがM&Aの仲介に乗り出すわけはなく、やはり銀行、証券会社、商社などの出番となる。

M&Aの仲介業務、そしてM&A対策の社内部隊に精鋭として携わる際には、法律・会計の専門的な知識とともに、企業価値を判定する証券アナリスト的な感覚や、どの国にどんな企業があるのかを正確に把握する国際的な情報力が総動員される。

M&Aの業務に携わるため法律的に必要とされる資格は今のところないが、証券アナリストの資格を取得し、しかも国際的な情報力に富んでいる人材は、これから企業内で国際派ビジネスマンとして重用されるようになるのは疑いのないところだ。

また、実際に、M&Aの伸介業務に携わっている人たちの多くが、弁護士や公認会計士の資格をもつ人たちであることも注目すべきだろう。

日本で最初に個人として「ビジネスプライダル業」(企業同士の結婚斡旋=M&A斡旋)を始めた人物は、ベテラン公認会計士である。

おもに日本企業が海外の企業にM&Aをかける際の橋渡し役を務めている。彼の講演会には少しでも国内、そして国外のM&Aに関する情報を集めようと、上場企業のトップクラスが数多く足を運ぶことで知られている。

これまで主として日本国内に集中していた資格取得者の活躍舞台が国際的になっている典型的な例といえるだろう



2.資格をサイドビジネスに生かす方法

サラリーが上がるのを待ってはいられない。豊かさをつくり出すのは自分の力しかない、ということなら、家計の不足分をサイドビジネスで補うのもひとつの方法だろう。できることならば、足りない自分の小遣い4万円分くらいは、サイドビジネスでなんとかしたいところだ。

サイドビジネスは資格が威力を発揮しやすい場面である。資格をもっていることが、サイドビジネスを通して、収入増につながる例は少なくない。

ただ、企業に勤める人間がサイドビジネスをはじめようとする際、欠くことのできない条件がある。

ひとつは、サイドビジネスの種類が本業に支障をきたさないようなものであること。
ふたつ目は、そのために、サイドビジネスは、短い時間で高収入を上げられるような職種であること。

パート勤務のように、時間給を重ねて収入を増やすような仕事は、時間に追われる勤め人のサイドビジネスには向かない。しぜん、特別な技能を高く買ってもらうような仕事、特殊な技能の習得を裏付ける資格が、サイドビジネス向きとして浮かび上がってくる。

校正に限らず、トレース技能レタリングなどの検定資格は、検定1級というような資格があるからすぐにサイドビジネスに直結するということはまず考えられない。基本的には、資格を取得するまでの過程で特殊な分野での技巧を身につけ、それがのちに高く買われると考えるべきだろう。
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